※この記事は令和8年8月現在の法令に基づいて作成しています。
こんにちは、新潟市で活動しているハル税理士事務所、税理士の佐々木です。
今回は、これから戸建て賃貸を個人で始める方向けに、e-Taxを使えるようになるまでの流れをまとめます。
「利用者識別番号(ID)の取得」「開業届の提出」「青色申告承認申請」の3つのステップを順番に解説していきます。
※「個人事業」かつ「税理士事務所に依頼せずに一人でやる」場合の記事です。
なお、不動産経営に関する他の記事もあわせてご覧ください。


1.全体の流れと実践
※今回、戸建て賃貸事業で想定していますが、一人親方、デザイナーなど独立、もしくは副業としてやる場合も一緒です。
古物商の店主さん先生、今度、うちの兄が空き家になっていた実家を戸建て賃貸として貸し出すことにしたみたいです。
確定申告のためにe-Taxを使いたいんですが、何から始めればいいですか?
さて、個人事業を開始した場合には、最初にやっておくことがあります。
- 開業届の提出
- 青色申告承認申請の提出
最低でも、この二つはやるべきです。
そして、この二つを提出する方法は主に3つ。
- 紙で書いて、税務署に郵送か持参
- 自分でEtaxを利用して提出
- 税理士にやってもらう
①は非常に簡単です。
紙を印刷して、いや、すぐにカタを付けるなら、直接税務署に行って書くことも可能です。
しかし、その後の確定申告を考えると、できれば②の方法にTryしてもらいたいです。
やはり、時代的にも電子で申請、申告をできた方が圧倒的にラクですから。
そして、電子で提出するにはEtaxという国税庁のシステムを使う必要があります。
ということで、まずやるべきはEtaxの利用ができる状態に持っていくことです。
①利用者識別番号(ID)の取得
まずはe-Taxを使うための「利用者識別番号」を取得するところからです。
これはe-Taxを利用する人ひとりひとりに割り振られる16桁の番号で、いわばe-Tax上のIDのようなものです。



AmazonアカウントやGoogleアカウントみたいなものですかね~。
ざっくり言えばそんな感じ。
ID取るとサービス利用できるみたいな。
取得方法は主に2つあります。
A.開始届出書をオンラインで作成・送信する(マイナンバーなし)



届出書を書いて税務署に持っていかないといけないんですか?
いえ、国税庁の「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」を使えば、Web上で届出書を作成してそのまま送信できます。
送信が完了すると、その場で利用者識別番号が発行されます。
紙で提出することも可能ですが、オンラインの方がその場で番号が分かるので早いです。
下でざっくりとやり方も説明します。
B.マイナンバーカード方式で作成



マイナンバーカードは持っているんですが、それでも届出書は必要ですか?
マイナンバーカードを使って初めてe-Taxを利用する場合は、開始届出書の提出自体が不要です。
マイナポータル連携やe-Taxソフト(WEB版)でマイナンバーカードを読み取って手続きを進めれば、その流れの中で利用者識別番号が自動的に発行されます。
これから初めて使う方であれば、この方法が一番手間が少ないと思います。
参考でマイナンバー方式での進め方のページ。
https://www.e-tax.nta.go.jp/kojin/mycd_login.htm
国税庁 1. マイナンバーカード方式とは
C.ザックリとした利用者識別番号の取り方
A.の開始届出書をオンラインで作成・送信する(マイナンバーなし)で説明します。
(私のIDがすでに電子認証済みなので、マイナンバー方式での実践が難しいからです…)
まずは、検索で「Etax」、もしくは下のリンク。
https://www.e-tax.nta.go.jp/todokedesho/kaishi3.htm#tabs_1
国税庁 Etax 開始届出書を作成する




・開始届出書(個人の方)
・マイナンバーを「お持ちでない方」
※マイナンバーを利用したい場合は、「お持ちの方はこちら」を。
今回は、「お持ちでない方」で説明。


名前、フリガナなど入れていきます。
赤印が必須事項です。
赤印がない項目は、無理に入れなくてOKです。
このページは、とくに悩む項目はないと思います。
下の方に屋号などもありますが、とくに入れる必要はありません。


下の方に行くと、職業欄ありますが、複数職業ある方(副業でされている方など)は、メインのものを書けばよいと思います。
次のページへ移動。


2ページ目。
住所など入力。
後半に提出先税務署を入力する部分があります。
ここは、「郵便番号」を入れると自動設定です。
郵便番号項目は必須入力項目ではないですが、入力した方が「提出先税務署」が自動で入力なのでラクです。
さらに次のページへ。


3ページ目。
住所など入力。
暗証番号はめちゃ大切です。
絶対に忘れないようにしてください。
即、メモかスクショとるかしましょう。
※進めると最後に識別番号やパスワードなど再表示されますが、この時点でしっかりとメモしておく方が安全です。
下の方に「納税用確認番号」「納税用フリガナ」がありますが、自動入力されているので、変更の必要はないです。
次は、もう確認ページです。
今まで入力した項目が再表示されますので、OKなら「送信する」。
これで、最後のページに利用者識別番号や設定したパスワードが表示されます。
この最後の表示もスクショ取っておくと安心です。
②開業届の提出
②開業届、③青色申告承認申請については、別記事で書き方を解説予定です。



利用者識別番号は、何とか取れたみたいです。
識別番号とパスワードもメモしていました。
次は何をすればいいですか?
次は「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届の提出です。
不動産を人に貸して賃料収入を得る場合、それが事業的規模かどうかにかかわらず、税務署への開業届の提出が必要になります。
なお、不動産賃貸の場合、事業的規模、業務的規模に分かれますが、次の記事で解説しています。


A.提出期限



いつまでに出せばいいんですか?
事業を開始した日(賃貸を始めた日)から1か月以内に提出することとされています。
戸建て賃貸なら、入居者の募集を始めた日や、実際に賃貸借契約を結んだ日を事業開始日とするのが一般的です。
B.提出先・提出方法



税務署に直接持っていかないとダメですか?
納税地(通常はお住まいの住所地)を所轄する税務署に提出します。
上の利用者識別番号の取得の際に郵便番号を入力したら自動で出てくる税務署が、あなたの住所を所轄する税務署です。
窓口への持参のほか、郵送でも提出できますし、上で取得した利用者識別番号があれば、e-Taxからそのままオンラインで提出することも可能です。
青色申告承認申請書とあわせて、同じタイミングでe-Taxから送ってしまうと手間が少なくて済みますよ。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続(手続きの案内)。
C.開業日って?



先生、ちなみに開業日っていつにすればいいんですか?
不動産賃貸だったら、貸した日?
それとも、賃料が始めて入った日?物件の購入日?
個人事業の開業日って、実はけっこう振れ幅が大きい、グレーな考え方です。
不動産賃貸業だったら、「物件を購入する」「登記が完了する」「リフォームする」「賃貸のための広告を出す」「賃借人が入って、初めての賃料が入る」…。
いろいろなタイミングがあります。
どれが正しい、ということもありませんが、自分でもうやると決めた日に開業届を出してもいいかなと思います。
遅れすぎると不自然ですので、少なくとも収入が発生したなら、速やかに出しましょう。
ただし、開業届にはマイナス点(失業手当が受けられないなど)もありますので、出す際にはしっかり覚悟決めて出しましょう。
③青色申告承認申請



開業届は分かりました。
「青色申告」って、おそらく受けた方が良いとは思っていますが、これも開業届と一緒に出した方がいいんですか?
はい、ぜひ出しておきたい届出です。
青色申告を選ぶと、最大75万円の青色申告特別控除が受けられたり、赤字を3年間繰り越せたりと、税金面でのメリットが大きいです。
※令和8年度から、青色申告での控除額が75万円に拡大されました。
戸建て賃貸1棟だけの規模だと控除額は10万円ですが、それでも白色申告に比べれば有利になることがほとんどです。
A.提出期限



これも1か月以内に出すんですか?
開業届とは期限が少し違います。
新たに事業を始めた場合は、事業開始日から2か月以内に提出すればOKです。
すでに事業をしていて、翌年分から青色申告に切り替えたい場合は、適用を受けたい年の3月15日までの提出が必要になります。
開業届を出すタイミングで一緒に出してしまうのが、一番忘れにくいと思います。
B.提出後の流れ



申請したら、税務署から「承認しました」って連絡が来るんですか?
基本的に、個別の承認通知が届くことはありません。
提出した年の12月31日(11月1日以降に新規開業した場合はその翌年2月15日)までに税務署から却下の通知がなければ、自動的に承認されたものとみなされます。
普通は、税務署に提出しても何の音沙汰もありません。
提出したら認められたと思ってもOKです。
提出した申請書の控えは金融機関からの融資などで求められることもあります。
Etaxで提出すると、自分のEtaxの部屋にお知らせ・通知として記録が残ります。
ただ、いちいちEtaxログインは面倒なので、提出した時に受付通知が表示されたら印刷またはPDF保存がラクです。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
国税庁 A1-8 所得税の青色申告承認申請手続(手続きの案内)。
2.ついでにしておくとよい振替納税



利用者識別番号、開業届、青色申告承認申請の3つですね。
順番に進めていきます。
はい、この3つを一気に、できればe-Taxでまとめて提出してしまうのがおすすめです。
戸建て賃貸は規模が小さいうちは自分で手続きできる部分も多いので、まずは動いてみてください。
ついでに、忘れないうちに「振替納税」の手続きもしておくとよいです。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nozei-shomei/online.htm
国税庁 振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書(個人)のオンライン提出について
実際に3月15日までに確定申告をし、所得税(場合によっては消費税)を納税するときに、個人の場合だと振替納税という自動引落をしてくれる制度があります。
納税し忘れがないので、便利です。
当事務所の個人のお客様も、90%以上の方が振替納税してもらっています。
手続きで迷ったときや、按分の考え方・帳簿の付け方などで不安な点があれば、お気軽にご相談くださいね。






