※この記事は令和8年7月現在の法令に基づいて作成しています。
こんにちは、新潟市で活動しているハル税理士事務所、税理士の佐々木です。
今回は、相続税・贈与税における土地の評価方法について解説します。
土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2パターンがありますが、今回はこのうち「倍率方式」について解説します。
路線価方式については、次回の記事で解説します。
なお、貸している土地の評価や相続税の制度について詳しく知りたい方はこちら。


1.土地の評価方法には2パターンある(路線価方式と倍率方式)
2代目(予定)先生、土地の相続税評価額ってどうやって計算するんですか?
土地の相続税・贈与税評価には、「路線価方式」と「倍率方式」の2つの方法があります。
どちらの方式を使うかはその土地がある地域によって決まっていて、自分で選ぶことはできません。



え、地域によって方式が決まっちゃうんですか?
はい。
路線価が定められている市街地では「路線価方式」、路線価が定められていない郊外や地方では「倍率方式」を使います。
具体的には、国税庁の路線価の公開ページで地区を検索すると分かります。


https://www.rosenka.nta.go.jp/
国税庁ー路線価図
新潟県のページです。
そもそも路線価のないエリアも多いですね…。
次に、「倍率方式」について詳しく解説しますね。
2.倍率方式とは(固定資産税評価額×倍率)



倍率方式って、具体的にどうやって計算するんですか?
倍率方式の計算式は、次のとおりです。
土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率
国税庁タックスアンサー「No.4606 倍率方式による土地の評価」
路線価方式は「路線価×面積」で計算しますが、倍率方式は市区町村が定める固定資産税評価額に国税庁が定める倍率を掛けて評価額を算出します。
東京・大阪のような大都市圏は路線価を設定している地域が多いですが、新潟のような中都市圏の場合、少し田舎の方にエリアが外れるだけで路線価の設定がなくなります。
私の住んでいる新潟市も中央区、東区、西区のような都市圏は路線価があるものの、南区、西蒲区のような田園が広がるエリアでは路線価設定がなく、ほぼ倍率方式での算定となります。
①固定資産税評価額の確認方法



うーん、固定資産税評価額って、あまり聞いたことがないんですけど…。
どうやったら確認できるんですか?
土地・建物を所有していると、毎年4月ころに住んでいる市から固定資産税関係の通知が来ます。
その通知の中に固定資産税の課税明細書が同封されています。



あぁ、何か毎年、市から送られて来ていましたね。
でも、固定資産税の納付書以外は捨ててました(笑)
これもあるあるです(笑)。
手元にない場合(紛失した、捨てた)は、お住いの市役所、町村役場(東京23区は都税事務所)で固定資産評価証明書を取得することでも確認できます。
※本人でない場合は、委任状が必要です。また、有料(300円とか、市町村しだい)です。
私も、相続の案件で被相続人の方の残された資料に固定資産税評価明細がない場合は、相続人の方に委任状を書いていただいて、市役所に取りに行っています。
遠方の市町村の場合でも、郵送対応可能なので、市町村に電話して手続き確認しましょう。
②倍率(評価倍率表)の調べ方



倍率のほうは、どうやって調べればいいんですか?
倍率は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。
路線価図と同じサイトで公開されていて、地域と土地の地目(宅地・田・畑など)ごとに倍率が定められています。
国税庁 財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」
https://www.rosenka.nta.go.jp/





へぇー、こんな風になっているんですね。
赤枠のところですね。
上の図は、路線価のページに入り、新潟県を選択した後の状態です。
赤枠の評価倍率表を使いますが、例えば「一般の土地等用」を選んだ後、同じ地域でも宅地と農地とでは倍率が異なります。
対象の土地の地目に対応した倍率を確認してください。





なるほど、たしかに「宅地」「田」など分かれていますね。
③計算例



実際の数字で計算してみたいです。
固定資産税評価額が500万円、倍率が1.1倍の宅地で計算してみます。
500万円 × 1.1 = 550万円
この550万円が、相続税・贈与税における土地の評価額になります。
※550万円の相続税がかかるわけではありません。
550万円の土地の評価額にその他の預金・株式などの評価額を合計し、そこから基礎控除、配偶者控除などの特例的 控除を引いて、残額に税率をかけるというような計算です。
詳しくは、下の記事で。


④固定資産税評価額に反映されていない減価要因に注意



固定資産税評価額をそのまま倍率にかければ、それで大丈夫ですか?
固定資産税評価額は、標準的な宅地の単価をもとに、奥行や間口など土地の形状による補正と、市町村が行う「所要の補正」を加えて算出されています。
ただし、セットバックが必要な土地、不整形地、都市計画道路予定地区域内の土地などは、固定資産税評価額の段階で十分に減価が反映されていないケースがあります。



え、じゃあそのまま倍率をかけると評価額が高くなってしまうこともあるんですか?
そのとおりです。
こうした減価要因がある土地は、倍率方式で計算した評価額からさらに補正を加えることで、相続税評価額を下げられる場合があります。
該当しそうな土地は、固定資産税評価額に見落とされている減価要因がないか確認してみることをおすすめします。
⑤固定資産税評価額が付されていない場合



固定資産税評価額がそもそもついていない土地もあるんですか?
あります。
払い下げを受けたばかりの土地や、直前に地目変更があった土地などは、固定資産税評価額がまだ設定されていないことがあります。



その場合はどうやって倍率方式を使うんですか?
近くにある似た条件の土地の固定資産税評価額をもとに、状況の違いを補正して、固定資産税評価額に相当する金額を算出します。
その金額に評価倍率を掛けて、土地の評価額とします。
ただし注意点があります。
相続税の申告期限までに正式な固定資産税評価額が決まった場合は、その正式な評価額を使って評価し直す必要があります。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/04/04.htm
国税庁 質疑応答事例 固定資産税評価額が付されていない土地の評価
3.まとめ



倍率方式は固定資産税評価額に倍率をかけるだけかと思っていましたが、注意点もいろいろあるんですね。
そうですね。
倍率は地域や地目によって細かく分かれている点、固定資産税評価額に減価要因が反映しきれていない場合がある点、評価額が付されていない土地の扱いなど、確認すべきポイントがいくつかあります。
次回は、市街地で使う「路線価方式」について解説しますね。
実際の相続税・贈与税の申告にあたっては、正しい評価方法を選ぶことが大切です。
ご不明な点があれば、当事務所までお気軽にご相談ください。










