※この記事は令和8年7月現在の法令に基づいて作成しています。
こんにちは、新潟市で活動しているハル税理士事務所、税理士の佐々木です。
相続財産に「駐車場」がある場合の評価について、不動産オーナーや店舗付属駐車場として持っている場合など、ご質問をいただきます。
とくに、不動産オーナーとは言えないまでも、空き地を駐車場として長年貸しているけど、これ相続の時にどうなるの?という質問も多いです。
今回は自分の考え方の整理のためにも、駐車場の相続税評価の考え方について整理します。
なお、過去の相続・贈与の記事はこちら。


1.駐車場の評価はまず「自用地」が原則
2代目(予定)先生、うちの父(社長)がいろいろな土地を持っているのですが…。
そのうち、駐車場にして貸している土地もいくつかります。
けっこう都市部にあるんですが、これって相続税で評価どうなるんですか?
当事務所への相談の際にもこういった質問がけっこうあります。
父が子供たちへの相続を考える際に「そういえば、あの余った土地って、駐車場にして貸していたなぁ。ちょっとでも相続税が下がるんだろうか?」と、質問される場合があります。
とくに、アパートオーナー、マンションオーナーで賃貸している人だと「賃貸しているとたしか土地の評価が下がるんだったな…」と思いつくので、「じゃあ、駐車場貸ししている土地も…」と思うのは当然です。
しかし、建物を賃貸しているのと土地を賃貸しているのでは少し事情が変わります。
次から見ていきましょう。
①月極駐車場やコインパーキングは「土地の賃貸借」ではない



駐車場として人に貸しているので、土地の評価は下がりますよね?
実は、相続税評価の前に、そもそも駐車場の契約自体がそう単純ではありません。
駐車場に自動車を停めてもらう契約は、法律的には「自動車保管契約」に当たります。
土地そのものを貸す「土地の賃貸借」とは性質が異なるため、借地権や賃借権は発生しないという考え方です。
そのため、所有者自身が駐車場設備を用意して利用者に貸している月極駐車場やコインパーキングは、原則として「自用地」として評価します。
国税庁 タックスアンサー No.4627 貸駐車場として利用している土地の評価
②評価が変わるかどうかは「構築物を誰が用意したか」



同じ駐車場なのに、評価が変わることがあるんですか?
あります。
自用地評価(貸していない、自分の土地として評価)になるか、賃借権を控除できる評価(貸している土地の評価)になるかの分かれ目は、駐車場設備(アスファルト舗装や区画線、車止めなど)を誰が用意したかという点です。
土地の所有者自身がアスファルト舗装や区画整備を行い、利用者に駐車スペースとして貸している場合は、駐車場という「サービス」を提供しているとみなされ、自用地評価のままです。
一方で、借主側が自己の負担で構築物を設置し、土地そのものを借りて事業を行っている実態があれば、「土地の賃貸借」と認められ、賃借権部分を控除して評価できます。



そういえば、我が家の余った土地、コインパーキングの業者さんに貸してますよ。
その業者さんがコインパーキング設備工事して、時間貸ししてますね。
そういう場合は、賃借権が発生しているので、相続税評価で賃借権部分の控除が可能ですね。
③土地の賃貸借と認められる場合の評価方法
土地の賃貸借と認められる場合、控除できる賃借権の価額は、その権利の強さによって2つに分かれます。
A.借地権割合を控除できる場合
賃借権が登記されている場合や、堅固な構築物の所有を目的とし、権利金の授受があるなど権利関係が強い場合は「地上権に準ずる賃借権」とされ、借地権割合に相当する割合を自用地価額から控除します。


地上権に準ずる割合の場合の控除割合。
契約期間が長いほど、割合が増え、結果的に相続税評価額が下がります。
B.上記(A.)以外の場合
上記以外の一般的な賃借権は「その他の賃借権」とされ、控除できる割合は「地上権に準ずる賃借権」の2分の1にとどまります。


A.パターン以外の賃借権の場合はA.の半分の効果です。
上記のとおり、残存期間に応じて割合の上限が決まっており、実務上は数パーセント程度の評価減にしかならないケースが多いです。



思ったより、評価が下がる幅は小さいんですね…。
そうなんです。
「貸しているから大きく評価が下がる」と期待しすぎないよう、控除できる場合でも事前に試算しておくことをおすすめします。
④評価減の対象にならないケースと注意点
A.青空駐車場やロープのみの駐車場は評価減の対象外
地面がむき出しのままロープや看板だけで区画しているいわゆる青空駐車場は、構築物がないとみなされ自用地評価のままとなります。
砂利敷きの駐車場についても、砂利が土地に厚く敷き詰められて構築物と認められるかどうかで判断が分かれるため、個別の実態確認が必要です。



砂利敷の厚さまで確認するんですか…!
税務は実態で判断することが多いので…
まあ、薄く砂利引いて「これは砂利敷きの駐車場だから評価減だ!」となるのを防ぐ意味合いが強いです。
B.小規模宅地等の特例との併用関係にも注意
構築物のある駐車場を事業として貸し付けていた場合、要件を満たせば「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例の対象になることもあります。
ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付を始めた宅地等は、原則としてこの特例の対象から除外される点に注意が必要です。
小規模宅地等の特例(貸付事業用)の詳しい要件については、別の機会にあらためて解説します。
2.まとめ



駐車場だから一律に評価が下がる、というわけではないんですね。
その通りです。
駐車場の相続税評価は、「貸しているかどうか」ではなく、「駐車場の構築物を誰が用意したか」で判断が分かれます。
相続財産に駐車場がある場合の評価や、小規模宅地等の特例の適用可否については、個別の状況によって判断が変わります。
気になる点があれば、お気軽にご相談ください。







