※この記事は令和8年8月現在の法令に基づいて作成しています。
こんにちは、新潟市で活動しているハル税理士事務所、税理士の佐々木です。
以前の記事で、消費税の還付を年4回に分けて受け取れる「課税期間の短縮」という制度について解説しました。
今回は、実際にこの制度の適用をいつ検討すべきか、当事務所での実例をもとにお話しします。
eBay、catawikiなどの輸出事業をされているセラーの方は、ぜひ自社の状況と照らし合わせながら読んでみてください。
なお、消費税還付に関する他の記事も、あわせてご覧ください。


1.消費税還付を年4回にするタイミング
古物商の店主さん年4回還付の制度は分かったんですが、実際どのタイミングで検討すればいいのか、正直まだピンと来ていません…。
そうですよね。
制度自体はシンプルですが、「いつ切り替えるべきか」は経営判断が絡むので、悩まれる方が多いです。
ここでは、当事務所のお客様の傾向をもとに、検討のタイミングをお話しします。
※あくまで、当事務所の傾向と、実際に私がeBayセラーをしていた体験をもとにお話しします。
①当事務所の平均値



実際、どのくらいの規模になった会社さんが年4回還付を検討されるんですか?
当事務所のお客様の傾向で言うと、年商6,000万円を超えたあたり、月商500万円程度になったころに検討を始める方が多いです。
これは、個人でも法人でも一緒ですね。
原価率を40~50%とすると、月あたり最低でも250万円程度のキャッシュアウトが生じる計算になります。
(原価率は、扱うアイテムによってバラツキますが、30-50%の範囲に収まる感覚です)
実際には外注費やクーリエ代(追加関税も)なども加わるので、月400万円程度のキャッシュアウトになることも珍しくありません。
このくらいの年商になると、瞬間的にキャッシュが不足する場面が増えてきます。
年1回の還付では、買い付け資金が足りなくなるタイミングが出てくるんですね。
さらに、年商1億円規模を見据えて仕入を増やそうとすると、なおさら年1回の還付では回らないと感じ始める方が多い印象です。



うーん、たしかに最近は事業用口座の資金が足りなくて、プライベート口座から入金していることが多いですね。
年商6,000万円くらいの方であれば、年4回申告にすると、一回の申告(3月分)で100万円くらいは消費税還付があるでしょう。
3月に一回、その程度還付があると、キャッシュの状態はけっこう変わるはずです。
②検討するタイミング



うちは法人なんですが、具体的にどのタイミングで届出書を出すのが良いんでしょうか?
届出書は、短縮後の課税期間が始まる前日までに提出する必要があります。
そのため、決算期や年商の推移を見ながら、期首の2~3か月前には検討を始めておくのがおすすめです。
目安としては、月商が500万円を継続的に超えてきたタイミングで税理士さんと相談です。
会計事務所によって、複数回の消費税申告への対応の可否、報酬の増加もけっこうマチマチなので。



融資を取れればキャッシュはある程度余裕があるので、まだ消費税の年4回はしなくてよいかな、と思っていましたが…。
融資を受けた直後なら無理にする必要はないです。
ただ、将来の融資、または、融資返済段階でのキャッシュに不安があるなど、やはり早めに検討だけはしておくことをお勧めします。
なお、融資を受けるうえでも、消費税の複数回還付は有利に働く場面が多いです。
(下のメリット参照。)
③メリット、デメリット



メリットとデメリット、あらためて整理して教えてもらえますか?
消費税の還付は魅力的ですが、ちょっと二の足を踏んでいて…。
A.メリット



資金繰りが楽になるのは、やっぱり大きいですよね。
はい、いちばんのメリットは還付金を受け取るサイクルが早まり、資金繰りが安定することです。
手元資金に余裕が出ると、アイテムの仕入れも決断しやすくなります。
とくに、有在庫で行うセラーにとって、在庫が積み上がり、現金化が遅れている状態では資金不足との戦いとなります。
大量仕入れで一定の季節(クリスマスなど)で一気にさばく方は、さばくまでのつなぎに消費税還付金は役立ちます。
A-2.融資でもメリット



ん、消費税還付を多くすると、融資にもメリットあるんですか?
やり方の一つですが、融資を受けるに際し、
- 消費税を複数回申告してキャッシュの充実を図っている
- 還付金が入金され、キャッシュが多いタイミングで融資を申請する
- 融資も受けることで手元資金が〇〇円を下回らないように配慮している
上記のように、「消費税の複数回還付を計画的に行い、キャッシュアウトの場面が生じないように気を付けている」という姿勢を社長が示せることで、融資にプラスに働くことが多いです。
なお、還付タイミングですが、当事務所では消費税申告から約28日で還付されています。
(ここは、完全に税務署の処理スピードしだいです)
また、当事務所自体でも、還付の処理は課税期間の末日から1.5月と早めに処理するよう心掛けています。
(1月から3月で締めるなら、消費税申告は5月中旬までには行う)
せっかく、年4回の還付にしているのに、会計事務所の処理が遅いせいで還付が遅れるのは意味がないですからね。
B.デメリット



良いことばかりでもなさそうですけど…一応、注意点はありますか?
はい、いくつか注意点があります。
まぁ、一番のデメリットは「税理士報酬が増える」ことです…。
税理士の私が言うのも何ですが、消費税申告1回につき数万円程度発生しますので、それが年4回になればやはり報酬は増えます。
当事務所の場合は、回数が4回、12回と増えるに従って、1回あたりの金額は減りますが、総額では増えます。
こればかりは、実際に申告の手間があるのでご理解を、というところです。
また、一度この特例を選択すると、最低2年間は継続しなければなりません。
つまり、途中で年商が激減し、複数回申告の必要がなくなっても、2年は継続する必要があるということです。
事務量増加については、税理士に依頼している場合は、税理士に負担がいくだけなので、さほど経営者側の負担はないはずです。
eBay、catawikiなどから取るデータも普段の月と変わりません。
2.まとめ
- 年4回還付を検討する目安は、当事務所の傾向では年商6,000万円超、月商500万円程度から
- 届出書は課税期間開始前日までの提出が必要なため、開始したい月の2~3か月前から検討を始めるのがおすすめ
- 資金繰りの安定というメリットと、報酬増や2年間の継続義務というデメリットを比較して判断する



数字で目安が分かると、自分の会社に当てはまるかどうか考えやすいですね。
一度、うちの状況でも相談してみたいです。
ぜひご相談ください。
年商や原価率、仕入のサイクルは会社ごとに違います。
有在庫、無在庫でも必要性は変わりますので、実際に切り替えるべきかどうかは個別に試算しながら判断するのがおすすめです。
資金繰りに不安を感じ始めたタイミングで、お気軽にお声がけください。








