※この記事は令和6年12月現在の法令に基づいて作成しています。
こんにちは、新潟市で活動しているハル税理士事務所、税理士の佐々木です。
この記事を書いている現在、R6.12.12。
もう1年も終わりです。
給与をもらっている会社員も個人事業をしている人も、税金対策で思いつくのが「ふるさと納税」。
12月ならまだ間に合いますので、「ふるさと納税」で検索し、良いものがあればご利用ください。
今回は、「ふるさと納税」を利用する際に「ワンストップ特例」について書いてみます。
1.ふるさと納税とは
そういえば、「ふるさと納税」はよく聞くが内容は知らないなぁ。
この際だから教えてくれるかい?
ふるさと納税は年末が近づいたり、総務省の規制が入ったりでたびたび話題になっていますね。
とはいえ、実際にどんな節税効果があるのか、具体的に知っている人は少ないかもしれません。
節税効果はない!?
「ふるさと納税をすると節税になる」「だから年末にふるさと納税でトクしよう」なんて言葉を聞くことがあります。
これらの言葉は当たっているような、そうでもないような…
簡単にふるさと納税を表現すると、「1万円をふるさと納税すると、1万円よりちょっと少ない額の税金が減る」です。
おいおい…
節税にはならないのかい?
むしろ、ちょっとソンしているじゃないか?
1万円寄付して、1万円より少し少ない税金が減るんなら、そうですよね。
これは、2,000円の自己負担分により、そうなってしまうんです。
寄付額 ー 2,000円 = 効果額(所得税、住民税の減税)
このとおり、「寄付額」から2,000円を引いた金額が効果額となるため、ちょっと自己負担が発生するんです。
イメージ的には、12,000円のふるさと納税をすると、12,000円-2,000円=10,000円ほど税金(所得税と住民税の合計)が減る、という感じです。
返礼品のためにしている…
なるほど。
では、世間でよく「ふるさと納税した方がいいよ」と言われているのは何なんだい?
ふるさと納税の最大の魅力は「返礼品」です。
寄付額の30%を上限として返礼品が設定されています。
辺れ品は各地方の名産品が多いですね。
例えば、私の故郷の佐渡市では、次のような返礼品がありますね(令和6年12月現在)。
- 佐渡乳業 チーズ & バター セット 12,000円
- 佐渡産 コシヒカリ ( 5kg ) 10,000円
- 【佐渡加茂湖産】牡蠣むき身500g×2袋 17,000円
※一例です。
ふるさとチョイスのページはこちら。
https://www.furusato-tax.jp/city/product/15224?srsltid=AfmBOoogoX_Elw7Y4ZDvylwke_4II6QvRu-Og8msMsEmSfo_0m5wRy3q
金額と返礼品のコスパについては、各自考える必要があるでしょう。
ただ、寄付額の95%以上が減税された上に、返礼品をもらえるのであれば、やはり「ふるさと納税やるべき!」という意見が出るのは当然でしょう。
減税効果の上限はあるよ…
なるほどな…
純粋な減税効果はないが、返礼品の分だけトクをするのか。
ならば私も多めにやるかな。
少しお待ちを!
ふるさと納税には効果(減税について)の上限があります。
そもそもが「減税」効果なので、「所得税、住民税が多くかかる富裕層」の方が上限額は多くなり、「所得税、住民税が少ない新卒、年金暮らしの人」は上限額はかなり少なくなります。
各ふるさと納税のサイトで上限額の算定ができるので、やる前に試算してみましょう。
参考までに、「会社員で給与収入が年500万円、奥さんは専業主婦、子供2人(小学生)、社保が年間70万円、その他の控除はなし」と仮定して計算してみました。
その場合の上限額は、「54,000円」でした。
この場合、ふるさと納税は54,000円までは減税効果があります。
54,000円を超えてふるさと納税をした場合には、返礼品はもらえますが、減税効果はありません。
つまり、返礼品を高い値段で買っただけです。
ふるさと納税をする場合には、「上限額」はできるだけ正確に試算して行いましょう。
2.ワンストップ特例は便利??
さて、この「ふるさと納税」の弱点の一つが「自分で確定申告をして、その申告書にふるさと納税の記載をする」ということでした。
なに!?
私はいちいち確定申告などしていないぞ!
年末調整はされているが、それで終わりだぞ!!
そうですね。
会社員の方にとっては「年末調整」の制度がありますので、確定申告をされる方は少ないです。
確定申告の制度自体をよく知らない人も多いですね。
そのような状況に対応するため、国の方で「ワンストップ特例」という制度を作りました。
ワンストップ特例なら確定申告不要!
ほう、その制度を使えば、わざわざ確定申告しなくてよいのかね!?
そうです。
確定申告の手間を省くために導入された制度ですね。
この制度を使えば、確定申告しなくても減税効果を得られます。
もちろん、返礼品も手元に来ます。
よいね!
それなら、余計なことを考えずにふるさと納税できるね!!
どうやるんだね?
簡単です。
ふるさと納税をしますと、納税した自治体から証明書などと合わせて「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」が送られてきます。
これに必要事項を記入して返送するだけです。
ただし、納税団体が5団体以内の場合に限ります。
6以上の地方公共団体に寄付する場合には使えません。
ラクショーですね。
※2024年12月の情報です。
将来的には、ふるさと納税を行うときにマイナンバーなど入力すれば、自動でワンストップ特例が効くようになるでしょうね。
確定申告が必要な場合は…
社長、あなたの年収ですと確定申告必要です。
ですので、ワンストップ特例は関係ありませんよ。
あぁ、そうですね。
給与での年収が2,000万を超える場合には、確定申告が必須です。
ワンストップ特例は確定申告をしない人だけが利用できる制度ですので、社長さんの場合には意味がありませんね。
ワンストップ特例をしようがしまいが関係ないですね。
おぉ、そうだったな!
しかし、私はワンストップ特例の紙を返送してしまったよ!
どうすればいいのかね?
確定申告とワンストップ特例の関係
大丈夫です。
ワンストップ特例をしてしまった場合でも、そのことは気にせずに確定申告でふるさと納税分を記入すればよいのです。
確定申告をした場合には、ワンストップ特例の効果はなくなります。
とくに、ワンストップ特例をやめるための手続きはありません。
確定申告することで自動的にワンストップ特例していない状態となりますので、そのまま確定申告でふるさと納税分を記入すればOKです。
確定申告でのふるさと納税の記入は、そんなに難しくありません。
Etaxコーナーも少しずつ使いやすくなっていますので、自分でも十分にできます。
確定申告時期の「無料税務相談(お住いの自治体や税務署が主催)」を利用してもいいでしょう。
私もここ最近、問い合わせで「ワンストップ特例を利用した場合の確定申告」という質問をいただきましたので、調べてみました。
参考:確定申告が必要なケース
ちなみにですが…
会社員の人でウチの社長みたいに高給取りを除いて確定申告が必要な場合ってありますか?
そんなに多くはないですね。
例えば、次のようなケースがそうです。
- 給与収入が2,000万円超(社長のケース)
- 住宅ローン控除の初年度
- 医療費が10万円(対象となる医薬品購入の場合は1万2,000円)を超え、確定申告で医療費控除を申告するケース
※(所得が少ない場合は、上記より低い医療費でも控除可能となります) - 副業をしており、利益が20万円超あるケース
- 土地建物の売買など大きな取引があったケース
- 株式売買で赤字繰越したいケース
- 災害で住宅等に被害を受けたケース
などなど
あっ…
けっこうあるんですね…。
えぇ、どれも可能性としては少ないですが、ケースとしてはけっこう多いです。
確定申告した方が有利になるケースも多いので、気になる場合は2月になると「無料税務相談」が多く開かれますので、一度相談に行くといいでしょう。
アタリをつけたいだけなら、Google先生に聞くのが一番早いかも(笑)
ワンストップ特例を使っていても、気にせず確定申告すればよし
見出しのとおりですね。
ワンストップ特例を使っていても、必要なら気にせずに確定申告されてください。
ただ、注意点として自治体から送られてきた「寄付金控除の証明書」は絶対に捨てないでください。
証拠書類ですので、7年保存が原則です。
確定申告するなら、確定申告書など作成するはずですので、あわせて保管しておきましょう。
うむ、勉強になったな。
とりあえず、返礼品の良い自治体を探すか…。
仕事してくださいね…。
確定申告、ふるさと納税のご相談は、ハル税理士事務所まで(^^)/
お問い合わせはこちら。
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