※この記事は令和7年4月現在の法令に基づいて作成しています。
こんにちは、新潟市で活動しているハル税理士事務所、税理士の佐々木です。
今回は、「輸出事業(主にeBay)」の経理処理の難易度はどうなのか!?という記事です。
eBayを始めた方、その他の輸出事業を始めた方にとって、税理士費用は少なくない費用でしょう。
じゃあ、自分で経理したらどうなのか、ということは気になっているはずです。
その点について今回記事にしてみました。
なお、関連記事はコチラ。
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輸出事業の経理の難易度の概要

佐々木さん、輸出をした場合には、国内販売と違って経理は難しいですか?
というか、素人でも経理処理できるものでしょうか!?
eBayをはじめ、Amazon米国、個人での輸出など国外輸出のチャンスは年々増えています。
当然に、国外処理では経理処理でつまずく人が多く、「どうやって経理処理したらいいですか?ドルのまま記帳すればいいですか?」などの質問もあります。
最近では、アジア向けの輸出も多いので、元(中国)、ルピー(インド)、ルピア(インドネシア)などの為替処理が必要な案件について質問を受けています。
結論としては、「ドルと同じく、売った時と円換算したときの為替レートにより為替差損益処理が必要になります」、「その他は一般的な物販業と同様に棚卸や証票の保存が必要です」という回答が多いです。
(ビザの更新などの事情で、もう少し捻った回答になる場合もありますが…)
※細かく言えば、輸出許可書の保存の説明もしています。
クーリエを利用する際の注意点も説明が必要な点です。
※記事内容とは違いますが、外国籍の方が経営者の場合については、ビザの延長要件、法人の運用要件など税務以外で気になる部分が多いでしょう。記事はあくまで「税務」に限定していますので、ご注意を。
こういった細かなやりとりをクライアント様としていますが、では実際に税務調査を考慮した場合にeBay輸出事業の税務・経理処理難易度はどうなのかを考えてみました。
これは、私の所属するコミュニティで説明した内容をそのまま記事にしております。
1.eBay輸出事業の税務・経理処理難易度



では、実際の輸出事業の難易度を教えてください。
輸出事業と言っても、今回はあくまで「eBay」に限定しています。
その他のプラットフォーム、もしくは自社輸出ではまた違いますので、ご了承を。
さて、下が「当事務所なりの経理処理の難易度」です。





うーん、難易度は「高い」けれど、大変さは「そうでもない」ということですか?
そうですね、当事務所の「Ebay」の経理については、経理の難易度は「高い」、しかし、大変さについては「そうでもない」というところです。



難易度が高そうなのは予想していたのですが、大変ではないんですね?
それは意外でした。
大変ではない、と言っても、税理士である専門家にとっては、という意味です。
本当に経理をしたことがない人にとっては、やはり「厳しい…」と感じるでしょう。
税理士でなくとも、「もともと、企業の経理部門にいた」「元銀行員など、専門知識がある」「経営者で、そもそも他の事業で自分で経理している」などのバックグラウンドがあれば、対応できるんではないか、というレベルです。
理由は、後述する流れから把握されてください。
2.税務調査の難易度はどうなの?
①ebayの税務調査の難易度は「低い」!?



経理処理ができたとしても、実際に、税務署の人が来たりしたらどうなるんだろう、ってガクブルなんですけど(笑)
たしかに、経理処理をできても、一人でしている場合には「それが当たっているかどうか」は分かりませんね。
もちろん、大きなミス・勘違いをしていたらどうしようないですが、基本的に問題ない処理をしている前提であれば、Ebayの税務調査の難易度はこのくらいです。





へぇー。
難易度は「低い」ですね。
大変さは「それなり」というところですか。
あくまで、当事務所での感覚です。
しかし、基本的にeBayでの税務調査の難易度は低いです。
理由は簡単です。
資金の流れが明確で、ウソを付けない仕組みになっているから。
②eBay資金の流れ



へぇー。
eBayはクリアな資金の流れなんですね。
eBayは、その仕組み上、基本的に資金(売上)を誤魔化したりすることができません。
通常のeBay売上の資金の流れは次のとおりです。
eBay(売上・ドル決済)
⇒ eBay手数料(基本手数料、ストア維持費、PL費など)を控除
⇒ Payoneerに移送
⇒ Payoneer手数料(2%)を控除
⇒ 国内銀行口座へ(ここで、為替差損益が発生)
という流れになります。
この間、すべて各プラットフォームの口座を通り、事業主の介在する余地は少ないです。
この流れがすべて記録されますので誤魔化しようがありません。
(税務調査でも口座履歴ですべて把握されます)
したがって、eBayやPayoneerから出力されるレポート通りに経理処理をすれば、売上不正が起こる余地は少ないです。
※禁止されてはいますが、個人間取引に発展した場合は別です。
ただ、その場合でも口座間取引になりますから、基本的に売上不正が起こる余地は少ないでしょう。
意図的にその個人間取引売上を計上しない場合は、不正となります。
※売上で税務上、不正が起こるのは、単純にミスや勘違いでしょう。
仮装・隠ぺい(重加算税の原因)はなかなか起こりづらいです。
3.eBay経理処理…は別記事で



なるほどぉ…。
eBayの資金の流れが必ず口座を通るから、ウソが付けないんですね。
でも、実際に経理処理できるかと言われたらできないです…。
はい、実際の経理処理は、まず慣れないと思います。
正直なところ、eBayなどのプラットフォームは「数をこなして利益を積み上げていく」事業スタイルとなり、大規模建設業のように「一発数千万円の案件をドン!」というものでなく「コツコツ毎日数十件を積み上げ、月で数百件、売上1,000万円、利益で数百万円という世界」です。
つまり、「経理処理に時間を割く」くらいでしたら、「売る」ことに注力した方がコスパがいいです。
その意味でも、会計処理は軌道に乗ったらすぐに税理士に委託した方が良いでしょう。
結果的には、その方が時間に余裕が出て事業に専念できます。
まとめ



なるほど、ebayの経理は難しいけど、税務調査ではウソはつけない分だけ難度は低いということですね。
でも、実際の経理はどうやっているんですかね?
気になるところです。
実際のレポートを利用した経理処理も気になりますよね?
この点は、別途記事にしようと思います。
ただ、記事中でも述べましたが、基本的に自分で経理処理はお勧めしていません。
単純に、経理処理に割く時間をebayのアイテム探し、リスト時間に充てればもっと儲かるからです。
とはいえ、知りたい人も多いと思いますので、後日記事にする予定です。
自分で経理せずに税理士に依頼する場合でも、原理を知っておいた方が良いのは間違いないですからね。
輸出事業、とくにebayで知りたい、相談したい場合は気軽にご連絡ください。