※この記事は令和7年1月現在の法令に基づいて作成しています。
こんにちは、新潟市で活動しているハル税理士事務所、税理士の佐々木です。
税理士の業務の一つに「相続、贈与」に関する税金の申告があります。
相続や贈与の基礎について、職業柄説明することがあります。
今回から少しずつ、「相続、贈与」の基礎を解説していきます。
相続税の基礎事項
ふむ、相続か…
会社を継がせるにはまだ早いが、相続のことも少しは知っておかねばなぁ。
私は、高齢の祖父母がいますので基礎だけでも知っておきたいですね。
税理士をしていると、経営者の方、一般の方、個人的な友達などいろいろな人に「相続」「贈与」について聞かれることがあります。
ネットも発展しているので、「年間110万円までは…」「相続税は非課税枠がある」などいろいろと情報を知っている方も多いです。
今回から、初心者に向けた「相続・贈与」の基礎を説明していきますね。
順番に説明していきますが、質問されることが多い事項に焦点を当てて進めていきます。
相続税の申告期限
まずは「相続税の申告期限」についてです。
と、その前に、相続でよく使われる次の言葉を確認しておきましょう。
被相続人(ひそうぞくにん):亡くなった方のこと
相続人(そうぞくにん):亡くなった方の財産を相続する方のこと
そして、ずばり相続税の申告期限は、「亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内」です。
例)被相続人が2月15日に死亡 ⇒⇒⇒ 申告期限:12月15日
簡潔に言えば、亡くなった日の10か月後の応当日(同じ日)です。
ちなみに、これはあくまで相続税の話でして、相続開始後に期限があるものは他にもあります。
- 7日以内:死亡届の提出
- 10日以内:年金の死亡届(国民年金は14日以内)
- 14日以内:世帯主変更届
- 3か月以内:相続放棄及び限定承認の手続き
- 4か月以内:準確定申告
- 10か月以内:相続税の申告
- 3年以内:相続登記 ※令和6年4月1日から義務となりました。
話を戻しますが、相続税の申告期限の10か月以内にやるべきことはけっこう多いです。
例えば、次のようなことがマストの事項です。
- 金融機関の調査、名義変更
- 被相続人の戸籍集め
- 各相続人の意志確認
- 遺産分割協議書の作成
各手続きはすぐに取り掛かれるものもあれば、下準備が必要なもの、他の手続きが終わって初めて取り掛かれるものなど、意外に複雑です。
たとえば、「金融機関の調査」は被相続人の使っていた金融機関を探す作業ですので、すぐに取り掛かれます。
通帳を探す、定期預金がないか金融機関に問い合わせる、などですね。
株の売買などしていれば、証券会社の特定も必要です。
しかし、「金融機関の名義変更」は、遺産分割協議が終わらなければできません。
遺産分割協議は財産が特定されなければ、これまたできません。
段階を追って作業していると10か月はあっという間です。
参考までに、次のようなケースは申告期限が異なります。
例外:孤独死、失踪して行方不明など
これらのように、致し方無い理由がある場合には、「亡くなったことを知った日」は実際の死亡日とはよりも遅れた日になります。
相続税の申告義務者
へぇ…
10か月でやること多いんですね。
ちなみに、相続税の申告はだれがすべきなんでしょう?
相続人の代表者がするんですか?
相続税の申告期限である10か月以内に相続税の申告を行う必要があるのは前述のとおりです。
では、その申告義務はだれに課せられるのでしょうか?
被相続人はすでに亡くなっているので不可能ですね。
答えは、相続人の各自がそれぞれ申告義務を負います。
また、相続人の他にも遺贈により財産をもらった人も申告義務があります。
遺贈:遺言により他人に財産を無償で与えること
受遺者:遺言により財産を受け取る人のこと
したがって、相続税がかかる場合には、相続人の各自が申告書を作成して税務署へ提出しなければならないのです。
一般的には、相続人全員がだれか知っている税理士に依頼することが多いです。
相続人全員が一人の税理士に依頼すると、その税理士が全員分の申告書を作成し、相続人たちに内容説明の後に税務署へ提出してくれます。
まとめ
うむ、今回は相続税の「さわり」というところかな?
次は、非課税枠について聞きたいからよろしく頼むよ。
今回は、1回目ということで、さわりの部分に限定しました。
次回に、社長さんのおっしゃるように「相続税の非課税枠」から税率のお話をしますね。
相続、贈与について相談したい方は気軽にお問い合わせください。
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