【経営】ebayの経理ー売上・手数料の把握方法を解説

※この記事は令和７年６月現在の法令に基づいて作成しています。

こんにちは、新潟市で活動しているハル税理士事務所、税理士の佐々木です。
今回は、ebayをしている人に向けて「経理作業のための売上・手数料の資料の見方を解説」という内容です。
ebayだけではないですが、個人で事業を開始した人のハードルの一つが「経理処理」です。

ebayの場合は、「外貨建て」「プラットフォーム販売」という独特の要素を持っています。
それだけに、経理処理へのハードルが高くなりがちです。
この記事では、経理処理の基礎である「ebayから出力されるレポートから売上・手数料」を読み解く方法を解説します。
勘の良い方はこの記事だけで経理処理できるかも！？
参考にされてください。

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ebayで各レポートの見方と売上・手数料の把握方法

ebayというプラットフォームは世界標準で利用者も億単位。
当然に基本的なレポート類が整備されています。
したがって、理屈さえ押さえれば、実はebayでの売上や手数料の把握は難しくありません。

この記事では、実際にレポートを見ながら、売上や手数料の見方を解説します。

１．各レポートの存在

ebayでの経理処理に必要なレポート類として、「FinancialStatement」「Tax invoices」「Transaction reports」の３つが利用できます。
基本的な経理は、「FinancialStatement」と「Tax invoices」の二つで可能です。
また、「Tax invoices」と「Transaction reports」の二つでも可能です。

ebayされている方ですと、必ず消費税は還付となります。
インボイス制度が令和５年１０月に始まってから、消費税の計算についてはインボイスの保存が義務と言ってもいい状態です。
そして、ebayの取引のうち、消費税のかかる取引のインボイスはebayの「Tax invoices」がインボイスとなっており、この保存が義務付けられています。

「Tax invoices」がなくとも「Transaction reports」により計算は可能ですが、「Tax invoices」の保存がなければ消費税の還付の要件を満たさないです。
あと、「Tax invoices」があった方が計算もしやすいですね。

①FinancialStatementの見方

さて、一番簡単にebayの売上・手数料を把握しようと思えば、「FinancialStatement」が一番です。
少し手間がかかりますが、分かりやすい方法です。
※令和５年の私自身のレポートを使っています。
　個人情報をさらしていますね…。

ebayなので、当然に英語ですが、ebayをしている人にとっては普通の光景です(笑)。

英語とはいえ、この「FinancialStatement」で使う項目は決まっています。
まず、一番重要な項目、黄色のラインの「Orders」、これが売上を表す項目です。

それが、ちょっと違います。
次の画像をご覧ください。

これは、FinancialStatementの２枚目以降で、Ordersの内訳が掲載されているページです。
緑の部分が事業者がリストした際に設定した商品の金額です。
そこから、売れた際に「ebay関係手数料」が引かれます。
それが、黄色の線のマイナスされている部分。

そして、FinancialStatement１枚目のordersは、「売上ー手数料」の純額となっています。
ですので、「売上（総額）」を出そうと思えば、Ordersの金額に、２枚目以降のOrdersの内訳にある「手数料のマイナス部分」を足してやる必要があります。

そうですね…。
FinancialStatementを利用する場合は、それが一番面倒な部分です。
ただし、解決策はあります。

①別で自分が売り上げた商品の一覧（リストした際の金額がわかるもの）を持っているなら、それで「売上」を把握する。そして、その　売上ーOrdesの金額＝ebay支払手数料　とする。
②後述のTax invoicesを利用して把握する
③Transaction reportsを利用する

①はebayをしている人なら、基本的に「自分で売上を把握する表」を作っている可能性が高いです。
その売上を月ごとに合計する方法ですね。
ただし、自力作成のものなので、間違えている可能性もあります。

②のTax invoicesを利用して把握する方法が一番簡単です。
後述しますので、そちらを参考に。

③のTransaction reportsをCSV形式でダウンロードして各列の見方を覚えると、簡単に売上など把握できます。
ただ、エクセル加工が必要になるので、少しハードルが高めです。
プロ（税理士）向きでしょうか。

その他、現在私自身がebayをしていないので、うろ覚えですが、「/performance/sales」で総売上が出せた気がしますが、「先月」のような絞り方ができたかが？？？です。
過去３０日とかだった気がするので、この方法では無理かな？

さて、Ordersが把握できれば、「売上」「ebay手数料（FVFなど）」が把握できます。
しかし、ebayに関わるその他の手数料（ストア維持費、PromotedListingなど）は、別で掲載されています。
色は塗っていませんが「Otherfees」の部分ですね。
この「Otherfees」も支払手数料として計上する必要があります。

また、返金した商品は「Refunds」に表示されます。
これも「売上」から控除する必要ありますね。

結果として、「売上（総額）ー返金（Refunds）ーebay手数料＝純粋な売上（ドル建て）」となります。
その残額からPayoneerへ移送した金額がPayouts（青の線）です。
Payoneerへ移送せずにebayに残ったままの金額が「Closing funds」として翌月に引き継がれます。

さて、上の方法はあくまで「ドル」がベースの話です。
会計ソフトには「円」で処理しなければなりませんので、ドル　➡　円に換算する必要があります。
換算方法は複数ありますが、月平均TTBなどで換算するのがラクです。
なお、月平均の円ドルレートはネットで検索するといろいろな機関が表示していますので、どれかを利用されてください（継続して同じサイト、TTMなどの換算方法を使うこと）。

②Tax invoicesの見方

まずは、画像から。

Tax invoicesも英語のみです。
しかし、これも見るところは限られています。

まず、Tax invoicesの意味ですが、ebayがセラーから徴収した手数料（FVF、店舗維持費、PromotedListingなど）にはほとんど日本の消費税がかかっています。
そのebayがセラーから徴収した手数料について、「日本円でいくらで、１０％の消費税がいくらか」を記載したものがTax invoicesです。
これを見ると、その月のebayに支払った手数料の税抜金額と消費税額がそのままわかります。

見方は簡単。
図の黄色ラインの部分「Total taxable amount at 10% in JPY」これが税抜の日本円での手数料。
そして、「JCT at 10% in JPY」が消費税額です。

画像ですと「手数料98,959円（税抜）」「消費税9,896円」がかかっています。

ebayの手数料はほとんどが消費税のかかるものです。
参考までに、Tax invoicesの真ん中あたりに「Total non-taxable amount 」があり、これが消費税のかからない取引を示し、「Total current invoice in USD」が消費税のかかる取引を示しています。
上の図ですと、「Total non-taxable amount 」が０で、「Total current invoice in USD」が368.44ドルのため、すべての手数料に消費税がかかっているということですね。

普通に取引をしている限りは、ほぼすべての手数料が消費税がかかります。

さて、①FinancialStatementの見方　で、ordersが「売上（総額）」から「ebay手数料」が控除されているため、「売上（総額）」の把握が手間であると書きました。
ここで、Tax invoicesの方はebay手数料全体を表示しており、その内訳も実は上の方に出ています（Type （Taxable））の部分。
こんな関係になっています。

図に示した通り、実は、次のやり方で売上（総額）が出せます。

この合計が売上（総額）です。
もちろん、イレギュラーな手数料がないことが前提です。
そして、Tax invoicesの方は日本円表記ですので、会計処理もTax invoicesの円表記に合わせて行えば間違いはありません。
要は、今回の取引で言えば、「FVF」「International fees」「Promoted listing fees」「Store維持費」の合計額が「98,959円＋9,896円＝108,855円（税込）」となるように調整してやればよいですね。

まとめ

Transaction reportsについては、少し玄人向きというか、プロ向きな面が強いです。
基本は、「FinancialStatement」「Tax invoices」で対応する方がベターと思います。
私みたいにプロになって、多くのebay事業者の損益を管理しているのでなければTransaction reportsまで使う必要はないと思います。

また、Payoneerレポートについては、別記事で解説します。

最後に、「FinancialStatement」「Tax invoices」の見方が分かれば、自分でも会計処理は可能です。
しかし、基本的にお勧めしていません。
単純に「時間がもったいないから」です。
税務処理は、ebayの売上・手数料の算出も大事ですが、輸出許可書の保管、アンダーバリュー対応、家事費按分、各費用の消費税区分など幅広いです。
このような処理を自分で覚えるくらいなら、一つでも多く利益商品を発見してリストした方がコスパが良いです。
その意味で、ある程度の利益が確保できたら、少なくともebay開始から１年以内には税理士に依頼した方が良いと思います。