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【相続・贈与】相続時精算課税で当初申告に間違いがある!?

2025 11/17
相続・贈与
2025年11月17日
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  3. 【相続・贈与】相続時精算課税で当初申告に間違いがある!?
相続と贈与

※この記事は令和7年11月現在の法令に基づいて作成しています。

こんにちは、新潟市で活動しているハル税理士事務所、税理士の佐々木です。
今回は相続時精算課税で当初申告に間違いがあった場合のケースについてです。
税理士に依頼して相続時精算課税の届出をしている場合にはあまりないですが、勉強されてご自分で届出と申告をした場合には評価額が間違っていることもあります。

そのようなケースについて、今回記事にします。

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目次

相続時精算課税制度と相続時の申告

今回、けっこうマニアックな経験をしたので、メモがてらに記しておきます。
相続という枠の中のさらに相続時精算課税制度、さらに、その相続時精算課税制度の適用時の申告が間違えていた場合という小さな領域の話です。
明らかに玄人向け、未来の自分向けの記事ですね。

2代目(予定)

佐々木先生、でも、法改正か何かで将来的には「相続時精算課税制度は流行る」と言っていますよね?
なので、将来的には役立つ記事ですかね?

令和6年の法改正で、相続時精算課税制度はかなり使いやすい制度になりました。
私の周りの経営者さんでも、届出される人が増えています。
なので、この記事は数年後に自分が読んだ時に注意喚起として役立つかも。

1.相続時精算課税制度の適用

相続時精算課税制度の概要やメリットは次の記事で説明していますので、ご参考にされてください。

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例えば、R7年分の贈与から相続時精算課税制度を利用するなら、R8年3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出しなければなりません。
そして、贈与額が相続時精算課税制度の非課税枠110万円/年以内なら問題ないですが、土地や家屋、非上場株式などを贈与して110万円/年を超える場合には次のような資料を添付します。

贈与税申告書第2表
贈与税申告書第2表
スタッフさん

また面倒そうな紙が…。
字が細かすぎます!

税務に限った話ではないですが、役人さんの作る書類は細かいです。
しょうがないです…。

今回の話は、相続時精算課税制度を適用する際に110万円/年を超え、この贈与税の申告書第2表を付けて申告し、その数年、数十年後に相続が起きた際の話です。

2.相続時精算課税制度の適用時

まず、相続時精算課税制度を利用した年度、もしくはその後の年度に年110万円を超えて贈与をした場合には、上の「贈与税の申告書第2表」を添付します。
そして、贈与したものが「現金」なら評価は不要ですし、「上場株式」なら評価は簡単です(証券市場から時価を取れます)。

しかし、贈与したものが「土地」「非上場株式」の場合には、評価が必要となります。
しかも評価はかなり難しいです。
特に「土地」の評価は税理士でも評価額が変わることのあるくらい様々な要素が絡みます(土地の所在、位置、形状、環境など)。
非上場株式も独特の計算をしますし、その対象の会社の中に土地があれば結局土地の評価になります。

この評価が必要な資産を贈与した場合が、今回の私が話したいこと「相続時精算課税で当初申告に間違いがある!?」です。
つまり、当初の相続時精算課税制度を適用した年度は「自力で何とか評価をして届出書と第2表を提出した」、けど、数年後、数十年後に相続が発生したときに振り返って当初の第2表を見たら「昔に届出したときの評価、何か間違っているな…」と事態が発生することがあります。
とくに、節約のために自分で評価した場合は、基本的に評価額は不正確となる可能性が高いです。

「土地」「非上場株式」の評価について、評価額が高すぎる、もしくは低すぎる。
このようなことが起こりえます。
つまり、間違った評価のまま、相続時精算課税制度の適用と贈与税の申告書第2表を出してしまうということです。

3.相続時精算課税制度の適用に間違った評価をしていたら…

運送屋さん

んー、でも、相続時精算課税制度の届出って、税務署に出すんですよね?
だったら、税務署の人が見て、間違いに気づいたら連絡くれるんじゃないですか?

基本的には、税務については「納税者の申告をいったんは正しいものとして扱う」というルールがあります。
したがって、相続時精算課税制度を適用した年度の届出が間違っていても、おそらく連絡が来たりはしないでしょう。
間違いが判明するのは、実際に相続が起きて、相続税の調査が入った時でしょう。

相続税の調査が入った時に、土地や非上場株式の評価が低すぎた場合には「相続税の過少申告」となりますので、「過少申告加算税・延滞税」のペナルティが発生します。
逆に、土地や非上場株式の評価が高すぎた場合には、「相続税の納めすぎ」となります。
この場合には、税務署の調査も連絡も来ませんから、知らずに相続税を多く納めることとなります。

スタッフさん

ひどい、税務署さん!
間違ってたらすぐに連絡くれればいいし、相続税を納めすぎていたらそれも教えてくれればいいのに!

税務署も限られた人員で運営していますので、一つ一つの申告を丁寧に見て、納め過ぎていたら連絡して還付、とまではできないことの方が多いです。
とくに、評価については申告書の表面だけでは分からないので、税務署も嫌がらせしたいわけではないです。

4.相続時精算課税制度の適用時の評価が間違っていたらどうすれば?

2代目(予定)

結局、当初の評価が間違っていたら、相続が発生したときにどうすればいいんですか?
そのままにしていい…わけないですよね?

この点について、正しい考え方は「相続時精算課税制度の適用」の時にした評価が間違っていたら、相続が発生したときにあらためて「過去の時点の評価をやり直し、正しい評価額で相続税の申告をする」です。

国税庁 質疑応答事例 「相続時精算課税適用財産について評価誤り等が判明した場合の相続税の課税価格に加算される財産の価額(令和5年12月31日以前の贈与の場合)」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/16a/13.htm
回答要旨の中の「相続税の課税価格に加算される財産の価額とは、贈与税の期限内申告書に記載された課税価格ではなく、当該贈与税の課税価格計算の基礎に算入される当該財産に係る贈与の時における価額と解される」の部分ですね。

税理士側の話となりますが、

「〇年前に自分で相続時精算課税を適用して、届出しています。
評価については、固定資産税評価額など、その時に調べて届出していますし、税務署から何も言われていません!」

という相続人の言葉があったとしても、あらためて評価が必要ということです。

スタッフさん

素朴な疑問ですが…
「あらためて評価が必要」とはいっていますが、そもそもその評価って、「昔の、届出したときの評価」なのか「相続した時の評価」なのか、どっちなんですか?

「あらためて評価が必要」というのは、過去に「相続時精算課税制度の届出」をし、贈与を受けた時の評価です。
つまり、それが10年前、20年前だったら…
土地の評価とかできるのか?

という、疑問がつきまといますね。

土地の評価は「都市部の評価=路線価」「郊外の評価=固定資産税評価額に基づく評価(倍率)」に分かれますが、どちらにしても遠い過去の路線価や固定資産税評価額を知るのはけっこう難しいです。

路線価は現時点で平成30年までのものがWeb公開されています。
固定資産税評価額は、市に問い合わせても過去5年が限界でしょう。

それ以前のものは…?
国会図書館とかには保存されているので、頑張ればいけると思いますが…。

まぁ、過去の資料を入手しづらいのは税務署側も同じだと思いますが、納税者の気持ちを考えれば税理士としては「正しい評価」をしたいところです。
ただ、時の経過による過去の資料の入手の困難さをどう捉えるか…
あきらめて無難な評価にするか、専門家の意地で追及してみるか…

今回、実際にこの事例に当たりました。
土地の評価で倍率地域でしたが、過去に遡っていくとなぜか路線価地域。
国会図書館の力を借りて過去の路線価を見つけて評価したら、被相続人さんの評価よりも100万円程度評価額が下がりました。
過去の路線価が見つかったことについて、運が良かったと思っています。
また、手抜きせずに調べてよかった…と思っています。

今回のまとめ

2代目(予定)

なんだか難しいテーマでした。
でも、専門家としての悩みというか、矜持というかは伝わった気がします。

相続の評価にあたり、どこまで真実を追求するかは税理士の理念にもよると思いますが、過去の資料の入手方法やそもそも「正しい資産の評価を追及する姿勢」は大事にしたいと思います。
相続は一発勝負で、相続の数だけ難しいテーマが異なります。
あくまで相続税は相続という大きなテーマの一部分ですが、専門家として手抜きはできません。
将来の自分に向けた「相続で手抜きするなよ!というリマインド」で今回の記事を書きました。

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    新潟市で税理士事務所を運営しています。
    公務員、大手製造メーカー、会計事務所と経験して、令和6年12月にハル税理士事務所を開業。
    現在は「経営者と一緒に成長していく」をモットーに活動中。
    趣味は軽登山(トレラン)、温泉、ゴルフ。

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